その恋、取扱い注意!
助手席に座ると、革の匂いと湊のアクアマリン系の香水の香りに包まれた。

まだ25才なのにBMWに乗って生意気な奴。
外資系のトレーダーってそんなに高給取りなのか。
まあ、外資系ってどこでもお給料良さそうだからね。
それに湊は超難関大学卒。私立の女子大卒の私と比較になんないわ。
私のお給料なんて、洋服代とお昼代、少しの貯金で消えちゃうんだから。


湊は手慣れた運転で近くのカフェに向かっている。
昔からある……昔はカフェじゃなくて、喫茶店だったけど。

「はい。着いたよ。大人しく外に出ろよ」

空いている駐車スペースに車を停めてから、私に向き直り言うと湊は外に出た。

「一言、余計なんだよね」

小さく溜息をついて外へ出た。

窓際の席に座り、コーヒーをオーダーすると湊がまじまじと見てくる。

「また髪切った?」

湊に指摘され、私の手が無意識に髪に行く。

「おとといね」

「ミミの長い髪、ずっと見てないな。先輩と別れて、切ってからかな」

いっ! いきなりなにを昔の話をしているのっ!
しかも、ほんの数ヶ月付き合っただけの話を……。
う~ん。今日の湊はなにを考えているのかわからない。

< 5 / 437 >

この作品をシェア

pagetop