その恋、取扱い注意!
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今日も雨。梅雨なのだから仕方ない。雨のせいか、お客様が少ない。
「安西さん」
企画営業課の松下さつきさんが、押してきた台車を止めて、私を呼んだ。
「今日は暇よね? この束のパンフに社判押しておいてね。終わったら、目立つ場所に出しておいて」
返事をする間もなく、指示を出すと行ってしまった。
私の後ろに置かれた台車を見て、呆気にとられる。
パンフレットが4束……。
「私も手伝うわよ」
隣の久我さんが、助け舟を出してくれる。
「ありがとう」
「でも、ひとりにやらせようだなんて、松下さんもなんだかな~って感じ。ここの社長令嬢だからって、何でも指示すればいいってもんじゃないのにね」
「う、うん……」
1年先輩の松下さつきさんは、私たちが働くインペリアル旅行社の社長令嬢。それに湊と同じ超難関大学卒の才女。課長クラスはもとより、部長クラスでさえ彼女に頭が上がらない。
時々来店するお客様の接客をしながら、空いた時間を社判押しに回す。
今日も雨。梅雨なのだから仕方ない。雨のせいか、お客様が少ない。
「安西さん」
企画営業課の松下さつきさんが、押してきた台車を止めて、私を呼んだ。
「今日は暇よね? この束のパンフに社判押しておいてね。終わったら、目立つ場所に出しておいて」
返事をする間もなく、指示を出すと行ってしまった。
私の後ろに置かれた台車を見て、呆気にとられる。
パンフレットが4束……。
「私も手伝うわよ」
隣の久我さんが、助け舟を出してくれる。
「ありがとう」
「でも、ひとりにやらせようだなんて、松下さんもなんだかな~って感じ。ここの社長令嬢だからって、何でも指示すればいいってもんじゃないのにね」
「う、うん……」
1年先輩の松下さつきさんは、私たちが働くインペリアル旅行社の社長令嬢。それに湊と同じ超難関大学卒の才女。課長クラスはもとより、部長クラスでさえ彼女に頭が上がらない。
時々来店するお客様の接客をしながら、空いた時間を社判押しに回す。