その恋、取扱い注意!
自動ドアが開いた。

「いらっしゃいませ」

その場で立ち上がりお辞儀をしてから、お客様を見ると驚きで目が大きく見開いた。
まっすぐカウンターに向かってくる男性を見て思わず声が漏れた。

「高野……先輩?」

平均的身長でスーツを着た男性は、私を見て少し考える表情になる。

「どこかで、お会いしたことが?」

高野先輩は私を見ても思い出さないよう。

高野先輩の目が私のネームプレートに動く。

「あー! もしかして美海ちゃん?」

「はい……そうです」

私が失恋した相手。なんかすごく気まずい……。

私のそんな思いとは別に高野先輩は「懐かしいな~」と言いながらイスに座る。

「きれいになったから、わからなかったよ」

照れ笑いを浮かべる高野先輩だけど、それは社交辞令だと思う。私は高校の時とあまり変わっていないんだから。

「いらっしゃいませ。今日は何をお探しでしょうか?」

仕事モードに徹しようと、にっこり笑顔を作り聞く。

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