その恋、取扱い注意!
退社して自宅のある駅に着き、改札口を出たところで背後から肩を叩かれた。

帰宅時間が良く合うお姉ちゃんだと思い、笑みを浮かべて振り向く。
後ろに立つ人物を見て驚いた。

「高野先輩っ!」

「美海ちゃん、今帰りなんだ。お疲れ様」

高野先輩はひとりだった。1日に2回も会うなんて驚いてしまう。

「今日はいろいろありがとうね」

親しげに笑う高野先輩だけど、仕事なんだからお礼を言われる必要はない。

「いいえ。ハネムーン、楽しみですね」

「まあね。美海ちゃん、ちょっとお茶しない?」

高野先輩は駅に隣接しているコーヒーショップを指さす。

「でも……早く帰らないと……」

「コーヒーぐらいおごらせてよ。ね?」

私の手首を掴んだ高野先輩は、コーヒーショップを目指して歩き出す。

お酒を飲みに行くわけじゃないし……コーヒーぐらいなら……。

掴まれた手首を見て小さなため息を漏らし、仕方なく付いて行く。


数分のち、なんで付いて来ちゃったのだろうと後悔していた。


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