その恋、取扱い注意!
「美海ちゃん、今彼氏はいるの? 可愛いからいるに決まっているよね。いなかったら紹介するよ」

彼氏……余計なお世話なんですけど……。

「彼氏、います」

そう答えた方が面倒にならなさそう。

「そうなんだ。可愛いからね。今思うと、もったいないことしたな」

「えっ……?」

私はアイスコーヒーを飲もうとストローを口にして止まる。

「あの時はごめんね。別れてから後悔していたんだよ」

「いいんです。もう8年前のことですし」

「今日、美海ちゃんに会って、まだ好きだったことに気づいたんだ」

アイスコーヒーのプラスチック容器を軽く掴んでいた手に力が入り、あやうくこぼすところだ。

「高野先輩っ! なにを言ってるんですか? 婚約者がいるのにっ!」

婚約者がいてもいなくても、私には何の気持ちも残っていないし。

「そうなんだけどね」

高野先輩は含み笑いを浮かべる。

その笑みを見て、背筋がぞっとした。

いったい何を考えているの?


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