その恋、取扱い注意!
私もひとり暮らししたいな。お姉ちゃんの結婚が決まってから、母が私にプレッシャーを与えてくる。さっきも帰宅後、ひとりで夕食を食べていると、母が近づいてきて突然「24才にもなるんだから、付き合う人は結婚前提にしなさいね」と言う。何度も聞かされている言葉を右から左に聞き流す。そんなの付き合ってみないとわからないのにな。

ひとり暮らしなんてお給料を考えれば到底無理な話。
スタイリッシュな高層マンションに住む湊が羨ましくなる。
湊が時々しか実家に顔を出さないのは私と同じことを言われているんだろうなと推測する。
泊まりたくないのは分かる気がする。

******

翌朝、寝不足ですっきりしない。急いでシャワーを浴びて着替えると会社へ向かう。

「あふ……」

電車を待つ間も、あくびが……。

今日は早く帰って、速攻寝よう。お肌にも悪いしね。

カウンター業務のいつもと変わらない一日のはずだった。
店内の掃除を済ませた所へ、松下さんが現れた。

「安西さん、これから外で説明会があるの。一緒に来てくれる?」

「あ、はいっ」

時々、団体旅行客用に海外旅行の説明会を行っている。
人手が足りないと、お茶くみなどを手伝うのだ。


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