その恋、取扱い注意!
「ミミ?」

松下さんが振り向いて私を見る。
私はと言うと、視線は湊と松下さんの顔を行ったり来たり。

「湊、安西さんと知り合いなの?」

湊は私を頭からつま先まで視線を動かし、口元に笑みを浮かべる。

「家が隣同士」

「あら、すごい偶然ね。湊のお隣さんが私の会社の社員だなんて」

「お前、口がきけなくなったのか?」

湊は手を伸ばして、私の唇をつまむ。

「うーっ!」

手が離されると、湊を睨む。

「もうっ! 乱暴なんだからっ」

私の怒りもなんのその。湊は笑っている。
その笑顔も爽やかでカッコよい。

「じゃあね。湊」

「そっけないな」

そっけないなって……松下さんとはさっさと挨拶を交わして行こうとしていたじゃないっ。

「だって忙しいんでしょ?」

「あー。お前の顔見たら、予定がぶっ飛んだ。じゃあな」

湊は軽く手を上げて、去って行った。

湊が去っていくのを見届けてから振り返ると、松下さんがきつい目で私を見ていた。


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