その恋、取扱い注意!
「仲が良いのね?」

「まあ……幼なじみですから」

「私たち、大学の頃付き合っていたの」


そうなんだろうなと思ったけれど、やっぱり付き合っていたんだ。
松下さんの表情から、まだ湊に未練たっぷりって感じを受ける。
湊は松下さんみたいなタイプが好きなんだね。昔っからそうだった。
可愛いタイプより美人タイプ。
モデルのようなスタイルの松下さんは、まさに才色兼備の言葉がぴったり。

そう考えると私って、湊のタイプからかけ離れているんだな……。

******

「ただ今戻りましたー」

カウンターに戻ってくると、自分の居場所にホッとする。
イスに座り、予約のファイルを取り出す。

「お疲れ様。大変だった?」

久我さんがねぎらいの言葉をかけてくれる。

大変だったなんて言って、周り回って松下さんの耳に入ったら何を言われるかわからない。

「ううん。楽しかった」

「あ! 昨日のお客様来たわよ」

「昨日のお客様?」

誰だっけ?

「安西さんの知り合いのハネムーンの。外出しているって言ったら、何も言わずに帰ったんだけど。予約じゃなかったのかしら」

「高野先輩が……」

予約ならば、私でなくてもいいのに……。

「いらっしゃいませ」

大学生ぐらいの女の子のグループが入って来て、話が中断した。


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