その恋、取扱い注意!
「飛行機、ホテル取れました。便はのちほどご連絡いたします」

「ありがとう」

申込金などの手続きが終了すると、12時を回っていた。

「美海ちゃん、お昼一緒にどうかな?」

「あ……あの、私お弁当なんです」

咄嗟に出た嘘だった。それに交代制なので、お昼の時間はまだまだ。

「そうなんだ。じゃあ、夕食は? 旅行の手配のお礼に」

夕食っ!?

「すみません。今日用事があるんです」

「そうなんだ……じゃあ、電話するよ」

へっ? 電話って!?

聞き返す間もなく、高野先輩は店を出て行った。

なんなの? 断っても誘ってくるって。

「すごいね。あの人。ハネムーン申し込んどきながら、安西さんにご執心って感じ」

「訳わかんない……」

やんわり断っているんだけれど、本当に気づいていないのか……とにかく断れてよかった。

「本当に、今晩用事があったの?」

「ううん。口から出まかせ」

「じゃあさ、美人堂へ行かない?」

美人堂かぁ。それもいいかもしれない。

帰りに駅で高野先輩が待っていそうで、それもあって美人堂へ行きたくなった。

「うん。今日はぱあっと騒ごうね」

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