その恋、取扱い注意!
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久我さんと駅で別れて、電車に乗るとちょうど空いた席に座れた。

結局、紅緒さんはあれから姿を見せなかったな……。
う~ 紅緒さんが気になる。私って、本当に女の人が好きなのかも……。

そんな事を考えながら、心地良い電車に揺られ、いつの間にか眠っていた。



肩を揺さぶられて、ビクッと顔を起こした私は目を疑った。

「みなとぉ……?」

あろうことか、湊は私の前に腰を屈めるようにして立っていた。

「お前、電車で寝るなよな。乗り過ごすだろ」

「えっ!?」

乗り過ごすと聞いて自分が電車に乗っていることに気づく。
慌てて立ち上がった時、見慣れたホームが見えてきた。

「あ……」

湊が目の前にいることを不思議に思うよりも、乗り過ごさないで良かったと安堵する。

「ほら、行くぞ」

湊は私の手を取ると、人を縫うように出口に向かう。

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