その恋、取扱い注意!
「湊、どうしてここにいるの?」

「実家に行くんだよ。お前が間抜け面で寝ているのを見て驚いた」

「ひどいっ! 間抜け面な顔で寝てませんっ!」

「口に物を入れようかと思ったくらいポカンと開けてたぞ。お前、女なんだから気をつけろよ。無防備すぎ」

「俯いていたんだからっ。嘘つかないでよねっ」

正直、湊の言うことはもっともなのかも。飲んでいて気が緩んでいたし。

階段を下りる時も、湊の手は繋がれたままで引っ張られるように付いて行く。
強引な足取り。

でもいいや。まだ酔いが醒めてないから、繋いでくれていた方が歩くの、楽だもんね。

湊の背中を追いながら、嬉しいようなホッとした気分だった。

改札口を出る時に、湊の手が離れた。
それを寂しく思っている自分に戸惑う。

今日の私って、なんだか変だ。人が恋しいのかなぁ……。

湊が握ってくれていた自分の手を見ていた。

「ミミ?」

改札を抜けたままボケッとしていた所へ、少し先にいた湊が戻ってくる。

「酔っ払い、行くぞ」

再び手を握られた。


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