その恋、取扱い注意!
「ね、彼女と会ってた?」

「は? 会ってねえよ」

「ほんと?」

「疑り深いな。その根拠は何だよ」

「根拠は……湊からせっけんの香りがしたから」

「ふ~ん。それで独り身の寂しいミミは乏しい頭で想像力したんだ?」


湊は立ち止まり顔を近づけてくる。


「だって、今の時間でせっけんの香りって言うのは……」

「もしかして、嫉妬してる? ミミちゃん」

「し、嫉妬なんてするわけないじゃないっ」


湊の視線を避けて、溶けてきたアイスを舐めてからかじる。


「せっけんの香りのコロンだってあるだろ」

「そうだけど……」

「バカなこと言ってないで行くぞ」


湊の歩調はゆっくりで、私に合わせてくれているみたい。
先に食べ終えた湊は驚くことに私の肩に腕を回してきた。


「湊っ? どうしたのっ?」

「カップルの疑似体験をさせてやろうかと思ってな」

「むぅ。カップルの疑似体験って……」


以前はこんなことされてもドキドキなんてしなかったけれど、最近の湊の言動や行動をやたらに意識してしまうんだよね。


「いいから。いいから」


肩に腕を置かれたままで歩く。


ドキドキする心臓が暴れているのがばれないように家路に向かった。

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