その恋、取扱い注意!
「お前さ、何かあったら相談しろよ」

「え? 何かって? 何もないよ……」

湊が側にいることで、高野先輩のことを忘れていられたのに、彼の顔が浮上してくる。
まだ高野先輩がストーカーの確証はない。

「何かあったら、じゃなくて、ある前に言えよな」

「変な湊。わかった……あ!」

自宅の門前だった。

「じゃあね。湊、ありがとう」

「オヤスミ」

門扉を開けて玄関の前で振り返ると、湊はまだいてくれた。

「おやすみなさい」

にっこり笑って、中へ入った。

「お帰りなさい。遅かったのね」

リビングに顔を出すと、母がドラマを見ているテレビから顔を動かす。

「うん。電車で湊に会ったよ。今日はこっちに泊まるって」

「あら、今日お隣さんとお茶した時には、言ってなかったわね。知らなかったわ~」

別に聞いていなくてもいいでしょ。と突っ込みを入れたくなるのをおさえてキッチンへ向かう。

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