その恋、取扱い注意!
「湊くんが電車だなんて、珍しいわね?」

「車を点検に出しているんだって」

わざわざ電車で来るんだから、大切な用事があったんだね。

コップに冷水を注ぎ、ゴクゴクと飲むとリビングを出ようとした背中に母の声。

「さっさとお風呂入っちゃいなさいよ」

「はーい」

間延びした返事を返し、階段を上がった。

部屋から見える湊の部屋にまだ電気は点いていなかった。

******

お風呂から上がり、短い髪をバサバサ拭きながらドレッサーの上に置いた携帯電話を見る。

着信が3回。見てみると、知らない番号だ。

こんな時間に誰?

画面をスライドさせていると、着信画面に変わり、飛び上るほど驚いた。

いったい誰よ!

さっきと同じ番号に腹を立てる。
少し躊躇ったのち、電話に出た。


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