その恋、取扱い注意!
ふと、バッグの中のスマホが振動していることに気づいた。
バッグに手を伸ばした時――

「電話には出ちゃだめだよ。今の時間を誰にも邪魔されたくないんだ」

「でも緊急かも」

「美海ちゃんにとって、今の方が緊急じゃないの? これからのことが決まるんだから」

「えっ? 一度食事をしたら、もうかまわないって!」

「どうしようかな」

吐き気がこみ上げるような笑みを向けられる。

話が違う……。

深いため息をこれ見よがしについて、バッグから手を離した。

「本当に君は可愛いなぁ。食べようよ。いただきます」

気持ち悪い一言のあと、ナイフとフォークを持って、ソテーされたチキンの皮をきれいに取りはじめた。

「この肉って、女性の胸の触感と似ているよね?」

皮をはいだチキンの表面をナイフで突っつく仕草に、私は一瞬固まった。


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