その恋、取扱い注意!
「ほら、ワインも飲んで。お酒は強いの? もっと頼もうか」

「いらないです」

「僕はもっと飲みたいな。美海ちゃんも付き合ってくれるよね。今度はデキャンタで頼もうか」

高野先輩はウエイトレスを呼び止めて、オーダーしている。
周りから見たら、デート中に思われているかもしれない。



飲むたびに、次々と葡萄色をしたワインが注がれる。

絶対に酔わないんだからっ。
酔ってどうこうしようと、思っているのかもしれない。
胸の話をした時から、高野先輩は私の身体が目的なのだと気づいた。

それから彼は高校の時の話を始めた。

バッグの中のスマホが何度も振動している。

「僕たちのことを取り持ったのは湊だったよね。卒業を前にした僕に、高1の君が好きだって聞いた時は驚いたよ。僕のどこを好きになったの?」

「……」

嫌悪感がふつふつと沸き出ているのに、どこが好きだったなんて思い出せないわ。

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