黒猫*友愛エトセトラ


「えっ?」


びっくりして顔を上げれば、目の前に本のようなものが突き出されていて……


「これ。ねこさん。
くろねこさんとしろねこさん、どっちがすき?」


絵本の挿し絵か何かだったと思う。そこには、黒猫と白猫が並んでいた。


「……?」


突然のことに、どうしたらいいのかわからず固まっている俺に、


「どっち?」


さらに近づけられる本。

相手の顔は見えない。

でも、ぼんやりと見える名札は…隣のクラスのもの。


「……くろい、ほう?」


勢いに負けて、思わず答えてしまった俺。


「ほんとうっ?」


それを聞くなり、そいつはバッと本をどけて、


「ぼくもっ!」


心底嬉しそうに笑ったんだ。


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