黒猫*友愛エトセトラ
「ふたりをかわいがってあげなさい、って……」
とらお=♂。アメリカンショートヘア。
うめこ=♀。チンチラだかペルシャだか…毛の長い白っぽい猫。
……だったと思う。確か。
当時、風見家で飼われていた猫たち。
歩の“猫好き”は、明らかに親の影響だ。
外国の猫に純和風な名前をつけるところが、さすが“歩の親”って感じだけど。
「だから、くろねこはかえないの。」
寂しそうに瞳を伏せると、歩は家に向かって足を速めた。
「なんで、くろねこがいいの?」
その後を追いながら、俺は素朴な疑問をぶつけた。
だってさ、家に二匹もいれば、それでいいじゃん?
歩にも普通になついてるみたいだし。
しかも、なんで“黒猫”にこだわるのかがわからない。
何がきっかけなわけ?
子供ながらに、不思議で仕方なかった。
「え……?」
俺の言葉に振り向いて、一瞬きょとんとしたものの、
「だって、くろねこがいればそらがとべるでしょう?」