君と僕の紙ヒコーキ
「こんなに人いっぱい居るのに見つかるのかなぁ。」
桃香がつまらなさそうに呟いた。
周りでは、学校で一番人気の王子様、滝川先輩とペアになりたい。
そんな声が飛びかっている。
正直わたしとしては、避けたいのだ。
慎ましく、密かに、三年間を終えたいわたしとしては、絶対に。
「滝川先輩は、何番でしたー?」
滝川ファンクラブの二学年リーダーの、田辺梨花子が甘えた声で言った。
頼むから同じ番号だけは、やめてくれ。
「んー、僕はね、6番だったよ。」
「そーなんですかぁ、残念です……」
他の女の子たちも口々に、残念だと呟いている。
そして目をギラギラさせながら、2年生の6番を探していた。