君と僕の紙ヒコーキ
「ため息つくと、幸せ逃げちゃうよ?」
私の気持ちを知ってかしらずか、淡い色のカクテルグラスを渡される。
優しく微笑むその姿は、何年たっても変わらない。全て分かっている時の顔。
「春くんならすぐ来るわよ。」
その言葉が合図だったかのように、店の扉が開いた。
カランコロン、と、軽快な音が響く。
柔らかい夜の風と共に入ってきたのは、ずっと会いたかった、あの人。
「ほら、来たでしょ?」
ふふっ、と美奈は笑って、近くにあった女子の輪へと戻った。