君と僕の紙ヒコーキ
先輩と二人で、案内係の仕事についての説明を読んで、集合時間まであと少し。
わたしは先輩の写真を撮れるなら、って、少し考えてみたりした。
このアングルで撮りたいなって。
そんなことを考えていたからか、少しぼーっとしすぎたみたいだった。
「ねぇ、松坂さん。」
「……………はっ、はい!」
声をかけられているのに気がつかなくて、目の前に手が降りてきて、大丈夫?と聞かれる。
「体験入学会、始まるよ?」
「そっ、そうですねっ…………」
「いやだからさ、行くよ?」
ほら遅れちゃうから、って、先輩はわたしの手を握った。
「えっ、ちょっ、えっ⁉」
「もー、うるさいなぁ。」
グイグイと彼が手を引っ張って、集合場所へと連れてかれる。
「ちょっと待って待って!」
「なに?」
「は、恥ずかしいですっ」
「……………」
「無視ですかっ」
「……………」
「せっ、せんぱ………」