君と僕の紙ヒコーキ
体験入学の子たちがお礼を言いながら、小走りで集合へと急ぐと、滝川先輩がじゃあ、と言った。
「僕たちも行こうか。」
「はい。」
あと少しで私たちの役目は終わって、もう先輩とは接点がなくなってしまう。
嬉しいような、寂しいような。
心のなかにモヤモヤとしたものがある。
「松坂さん?」
いつの間にか立ち止まってしまっていた私に、滝川先輩が声をかけた。
「どうしたの、大丈夫?具合でも悪い?」
わたしはふるふると首を振った。
先輩の瞳に私が映る。
「ん?」
大丈夫?と言うように先輩は微笑んだ。
心の中のモヤモヤが、何かを知っていた。
ダメだって分かっていても、わたしはそれを、吐き出さずにいられなかった。
「あっ、あの………」
「なに?」
「先輩の写真、撮らせて、もらえませんか?」
「写真?」
「は、はい。」