君と僕の紙ヒコーキ
マスターが見ていたほうを振り向いた。
そこには大好きで、大好きだった、彼がいた。
「隣、いいかな?」
「もちろん、どうぞ。」
彼は隣に腰かけると、懐かしそうに、久しぶり、と言った。
「春くん、あの頃と変わらないね。」
「桜は変わった。ずっとずっと綺麗になった。」
照れくさそうに、春くんが言った。
お酒のせいじゃない、火照りが体を包んだ。
「彼氏とか、いるの?」
「居ないよ、ここ二年くらい、かな。」
前の彼とは、どうしても春くんが忘れられなくて別れてしまった。
私の気持ちは、ずっと五年前で止まったままだった。
未練がましいにもほどがある。