あふれるほどの愛を君に
「盗む、たぶらかす、白状した……さっきから穏やかじゃないですね。
大島さんも、そう思うよね?」
黒木さんに呼びかけられた彼女が、俯いたまま返事をする。
「は、はい」
ひどく怯えて見えるのは、こちら側の人間に責められたせいばかりだろうか。
「今回のテーマを提案したのだって君一人じゃないのに、ね?」
「はい」
「内容だって、たくさんの調査と協議の上で進められた」
ぎこちなく大島さんがうなづく。
「ライバルチームの企画書を盗み見ただなんて、とんでもない濡れ衣だな」
「……」
「よってたかって先輩達に責め立てられ、思わず虚偽の返答をしてしまった。まったく事実無根、身に覚えのない言いがかりに過ぎない……そうだよね?」
その時、大島さんの肩を抱く黒木さんの手に力がこめられたように見えたのは気のせいだろうか。
「ね、大島さん?」
「はい、黒木さんが言った通りです」