あふれるほどの愛を君に
桃子さんに続いてリビングに戻り、ソファーに座る。
「サクラさんも元気、ないんですか?」
遠慮気味に訊ねたら桃子さんは、眉間に皺を寄せて言った。
「うーん……お父さんのことで電話した時ね、元気ないっていうか落ち込んでるみたいだったから。ねえ、その忙しさっていつまで続くの? ほら、あたし、こんな体じゃない? だからサクラに一回実家に行って様子見てきてもらいたいのに」
「調子、悪いんですか?」
「ううん、父さんなら家に戻って今は落ち着いてるみたいだから心配ないわ。それより寂しいみたい。あの子、お正月に帰った時もせわしなかったみたいだから」
そう言われて、今年のお正月のことを思い返す。
そういえばサクラさん、友達と会ったことは話してたけど、実家で過ごした話はあまりしてなかったな。
それに帰省したのは三日間のみで、残りの休暇はずっと僕と一緒にいたんだ……。
そんなことを思うと、少しの罪悪感が湧いた。
サクラさんのお父さんを寂しくさせてるのは、僕にも責任あったのかな、って……。