あふれるほどの愛を君に

この女性(ひと)桃子さんは、サクラさんのお姉さん。

年齢はサクラさんより10歳上で、双子で、元OLで今は専業主婦で………そして妊娠中。

二ヶ月前まではこの部屋に姉妹で暮らしていたんだけど、桃子さんが結婚したことにより現在はサクラさんが一人で住んでいる。

つまり、ただ今進行中の僕等の同棲計画も、サクラさんが一人で払うことになった家賃問題を含めその辺を理由に決まったわけなんだ。


「ところで君達、何してたの?」

「「へ?」」


桃子さんの急なツッコミに僕等は同時に声を発した。


「ハルオのワイシャツのボタン、ずれてるよ」

「「え!」」


顔を見合わせ


「サクラの髪だって不自然に乱れてるしね」

「いや、こっこれはっ、」


なんて慌てふためいたところで


「なんちゃってー、あははっ。そんな冗談はさておき、あー喉が渇いた。ハルオ、お茶淹れて」


拍子抜けした。

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