あふれるほどの愛を君に
デキる男


 会社の決算期である三月は慌ただしく過ぎ、あっという間に四月になった。

そして迎えた新年度初日の朝礼で、新たな人事が発表された。

我が商品企画課に配属されたのは、前に鈴木さんから聞いていたと思われる男性(ひと)で。


「今日付けで物流から転属になった黒木君だ」


課長から紹介された時、一瞬の沈黙の後でフロア内がざわついた。

それはやはり ”物流” って単語に数人の人間が反応したからと、


「カッコいいかも…」

「ね?」


溜め息混じりに呟かれた女子社員の本音のせいだと思えた。

< 30 / 156 >

この作品をシェア

pagetop