あふれるほどの愛を君に
デキる男
会社の決算期である三月は慌ただしく過ぎ、あっという間に四月になった。
そして迎えた新年度初日の朝礼で、新たな人事が発表された。
我が商品企画課に配属されたのは、前に鈴木さんから聞いていたと思われる男性(ひと)で。
「今日付けで物流から転属になった黒木君だ」
課長から紹介された時、一瞬の沈黙の後でフロア内がざわついた。
それはやはり ”物流” って単語に数人の人間が反応したからと、
「カッコいいかも…」
「ね?」
溜め息混じりに呟かれた女子社員の本音のせいだと思えた。