あふれるほどの愛を君に

「あの…」


もう一度声をかけると、やっと気が付いた様子の鈴木さんが振り返った。


「ん? あー、ちょっとな……。まっ、その内教えてやるよ」


意味深な顔をしていた。

普段の鈴木さんらしくなかったし、それに言葉の意味もわからなくて、ただ僕は「はい…」と応えるしかなかった。


それにしても、どうしてさっき ”似てる” って思ったんだろう…?
黒木さんと ”彼” が似てるって。

そもそも彼のことを僕は、殆どっていうより全く知らないわけで。見かけたのだってあの一度きりなのに……。

それに、前に桃子さんが旦那さんと話していた内容から想像しても、彼と黒木さんは全然違うタイプに思えるのに。

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