あふれるほどの愛を君に
 
コンセプトも価格帯も自由。あらかじめ取り決められていることはなし。

ただいつもと異なるのは、社内コンペを開くということ。

通常なら課内で役割を分担し、マーケットリサーチ、コンセプト決めから成分や容器の決定等、一から企画を練り手掛けるところを今回に限っては違うというのだ。


「つまり、チームに分かれて競えと?」

「上で決まったことだ。より優れた商品作りのためにな」


二チームに分かれて企画し、それをプレゼンでコンペティションして、どちらか一方のみを通すということらしい。


「競争かあ……」


小声でぽつりと呟くと同時に、以前読んだ経営学者の著書のことを思い出していた。

そこにも社内プレゼンは、スタッフの企画力向上のために良いと書かれていたけれど……。

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