あふれるほどの愛を君に

商品企画課には第1グループと第2グループがあって、今回の“社内コンペ”もそのまま二つのグループが競うと思っていた。

だからサクラさんとライバルになると知った時は驚いたし、正直ちょっと残念にも思った。

同じチームになればdouceurの時のように、一緒に外勤に歩いたり残業できたのに……ってね。


「阿久津! 三ヶ月後のコンペは絶対モノにしてやろーぜ!!」


チームAのリーダーは鈴木さんで、僕はそのメインアシスト役に選ばれた。

そしてもう一つのチームBはというと ──


「花井さん、一緒にいい仕事しようね?」

「はい。よろしくお願いします」


笑顔で差し出された黒木さんの大きな手にサクラさんの白く細い腕が伸びて、しっかりと交わされた握手。

その様子を僕は、少しだけ複雑な気持ちで眺めていた。

< 40 / 156 >

この作品をシェア

pagetop