あふれるほどの愛を君に

収穫を諦めた僕達は、そのまま大学構内で休憩をとることにした。


「それにしても懐かしいなぁ」


学生達で賑わうカフェテリアを眺める鈴木さんにつられて、僕も視線を向けた。


「前に同期の人事担当から聞いたんだけど、お前、H大受かってたんだってな? 」


唐突にきりだされた話題にちょっとだけ困惑する。


「なんで大学行かないで飛び込みでうちの会社受けたかは、まっそれなりの事情があるだろうから、無理には聞かないけど」


と前置きをした上で鈴木さんは申し訳なさそうな顔をして

「俺、反省したわー」

って眉尻を下げて僕を見た。


”反省” の意味がわからず首を傾げると、鈴木さんが小さく笑って続けた。


「俺さ正直お前のこと、高卒だからって軽く見てたとこあったんだよ」


適当な返事が浮かばず、僕は「はー」と相槌だけ打った。

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