あふれるほどの愛を君に
「そっか、化粧品の企画作ってるんだ。頑張ってるんだね」
「でも、まだまだだけどね。星野はいま、何やってるの?」
就職コースだった星野は小さな出版社に就職して、だけど半年も経たないうちに辞めたことは知っていた。
尋ねたことで僅かだが目の前の表情が曇ったような気がして、僕はちょっと後悔した。
何気なく交わした近況だったけど、慌てて他の話題を探す。
「あ、そうだ。あいつさ、二組の山本なんだけど――」
「阿久津君、わたし今キャバクラで働いてるの」
唐突すぎる発言に驚いて、言葉に詰まってしまった。
「最初の就職先辞めた後でカフェでバイトしてたの。そこで一緒だった子に紹介されてね、お金もいいからって……」
自嘲気味に笑った声や表情に、変な気持ちになる。
何故だか胸の奥がほんの少し痛かった。