あふれるほどの愛を君に
正直、意外だった。
星野が夜の街で働いてるなんて。
クリクリと動く瞳もよく笑うとこも、あの頃と全然変わってないから。
飾らない、いつも自然体の女の子だった。
吉川も星野のどこが好きかって話す時に同じようなことをいつも言ってて。
そういや卒業式の夜に集まった打ち上げでも、クラスの女子の中でメイクをしてないのは星野だけだったな。
関係ないかもしれないけど、なんとなくそんなことも思いだしていた。
「驚いた?」
「ん? いや、まあ……ちょっとね」
驚いたってだけじゃなくて、なんだろ。ちょっとショックだったのかな。
他の誰でもなくそれが星野だったから、たぶん……。
それから二人で色んな話をした。
ほとんどが思い出話で、夏休みに皆でキャンプに出かけたことや花火大会の時のこと、バーベキューをして危うくボヤを起こしそうになったことなど。
吉川と星野と僕と、それから男の友達があと二人、よく五人で一緒にいたんだ。
テスト勉強するために集まってもダラけてばっかりで、そんな時はいつも星野が渇を入れるんだけど、結局誰かが口にしたギャグに笑い上戸の星野がはまって……。
季節が巡り学年が変わりクラス替えがあって、でもいつも一緒にいた。
くだらないことでも五人で笑いあってた。楽しかった。