戸田くんと岡田さん

ティッシュ地獄





「実里ー、ちょっと頼んでいい?」




夕方になりかけの頃。

部屋のベッドでごろごろしていると、お母さんの声が聞こえた。



「んー、なぁに」



お母さんのもとに向かうと、冷蔵庫とにらめっこしていた。




「夕飯の材料買い忘れちゃったのよー…。実里行ってきてくれない?」


「あーうん、いいよ」



特にやることもないし、いっか。




「ありがとー♪ じゃあ、卵とケチャップとにんじん。ん…あと玉ねぎも!」



そんなにたくさん?



お母さんそれ"買い忘れた"じゃなくて"買う気がなかった"じゃないの?




「…じゃ、よろしく!」


「……はーい」





だいぶ涼しくなった外に出た。



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