『リナリア』~生徒に恋した体育教師~
君との夏
あれから毎日毎日・・相川からの連絡を待ったけど、結局連絡が来たのは1回だけ。
相川の性格上、遠慮すんなって言っても遠慮しちまうんだろうな。
そして、相川とは学校で話すくらいで・・・特にこれとったこともなく数か月が過ぎた。
クリスマスだって、バレンタインだって・・・
お前からのチョコとか・・・密かに待ってたんだから、俺。
俺の期待もむなしく、相川はいつもと変わらない。
バレンタインの日、相川に「チョコちょーだい」ってけっこう本気で言ったのに・・
「やだ~。先生いっぱい貰ったでしょ?」
と、冗談で返されてしまった・・・。
終わった・・・俺のバレンタイン。
それでも、生徒たちから貰ったチョコレートは、大切に持ち帰り、捨てることなく食べた。
チョコレートには、ひとつひとつメッセージが入っている。
このメッセージが、ほんの軽い気持ちだとしても・・・俺は本気で嬉しいよ。
ありがとう。
好きだと思ってくれて。
俺は、チョコレートにお礼を言った。