『リナリア』~生徒に恋した体育教師~






「え?あ、野菜?これは~・・・そう、来夢が切ったんだよ!」





「へぇ~すごいじゃないか。なかなかやるな」






俺が曽根元にそう言った瞬間、松本才華が口を挿んだ。






「なにいってんの、来夢!それ切ったの、妃菜じゃん」




冷ややかな松本の目線。



奥では、少し悲しそうな顔をした妃菜の姿が目に入った。





曽根元は、まずいって表情をした後、ごまかすように笑った。





「えへへへ・・・バレちゃったぁ。先生、ごめんね♪」



俺は曽根元からそっと離れて、目を見ていった。






「どんな小さなことだって嘘はいけないぞ、曽根元。俺は嘘は嫌いだ。必ず人を巻き込むからな。これからは気をつけろよ?」





「あ・・ごめんなさい」




曽根元は俺のもとから離れていった。




嘘ってだけでも、いい気分はしないのに。







あいつに・・ちょっと嫌な思いさせちゃったな。




でも、こんなに野菜をキレイに切れるなんて、さすが。


いい奥さんになれるよ。













< 131 / 265 >

この作品をシェア

pagetop