『リナリア』~生徒に恋した体育教師~
その日の夜、俺は一人で海を眺めていた。
夜は海には生徒は来ないし。
一人きりで、自分を見つめられるかな・・・って。
潮風がひんやりと俺の頬にあたる。
夜空は広くて、俺の悩みなんてちっぽけにさえ思えてくる。
だけど俺の中では、空よりも、海よりも、大きくて深い問題。
「せんせ~」
背後から声をかけられ、俺はまた村上先生かと思い、振り返った。
「え?斉藤?お前・・なんで?」
「ごめん、先生。先生を探してたけど見つからなくて。海には来たらダメってわかってたけど・・・」
「俺を探してた?なんかあったのか?!」
俺はなんか問題でも起こったのかと焦ったけど、そうではないようだった。