『リナリア』~生徒に恋した体育教師~
毎日、文化祭の準備で大忙しだった。
妃菜にも会えず・・・・唯一、廊下ですれ違えることを願うだけ。
でも、隣のクラスにあいつがいるんだって思えるだけで、十分幸せ。
「あ~~~!才華ちゃん!」
「えへへ~!妃菜がお菓子いただき~♪」
ほらほら・・・あいつらの元気の良い声が聞こえてくる。
「こぉら、お前ら。お菓子なんて食ってねぇで、準備しろっ。太るぞっ」
隣のクラスに顔を出して、わざと意地悪を言ってみる。
「先生の、意地悪ぅ・・・・」
ぷぅって頬を膨らませて、俺を見る妃菜が面白くて、可愛い。
俺らの話を見て、ニヤニヤする松本。
こいつは、俺らの関係を知っている唯一の生徒。
「なんだその顔っ!お前も太るぞ、ばーか」
俺がそう言うと、松本は全力で俺の脚を蹴った。
「いってーーーー!お前、力強すぎ・・・」
「先生が、女性に向かって失礼なことを言うからです。自分のクラスに帰ってください」
松本はそう言って、俺をクラスから追い出した。