『リナリア』~生徒に恋した体育教師~
「あ、いやあの・・・昼にちょっと会いました・・二人きりで。でも、別に変なことはしてません。けど、好きだとは言いました・・」
俺の言葉に肩を落とす村上先生。
「はぁ~・・・十分だよ、その言葉だけで。誰が聞いてもカップルの会話じゃん。それ、本当に周りに人いなかったの?もしかして、蓮見先生に聞かれてたんじゃない?まったく。今回ばかりは何もいう事ナシ!教師らしからぬ行動だよ?わかってんの?」
珍しく村上先生が真剣な表情で俺に話す。
これは本気で怒ってるっていうか、がっかりしてる。
ほんと、俺教師失格どころか、男としても失格かもしれない。
それどころか唯一の味方まで信用をなくしそうだ。
「・・・・返す言葉もありません。俺、最低ですね・・・」
「まぁでも。蓮見先生が本当に見たとは限らないし。今後は十分に気を付ける事!いいね?」
「はい。ありがとうございます。明日、しっかり彼女と話してきます」
「君も彼女も辛い道を選んだもんだ。この世の中には女の人なんていっぱいいるのに。ましてや君は選び放題なはずなのにね」
「そうかもしれないです。でも、俺は生徒の中から好きな人を見つけたわけじゃないですから。俺はこの世の中にいる、たくさんの女性の中から彼女を見つけ出したんです。先生も、そうですよね?」
「まぁ~ね!俺と奥さんは運命の相手だから。ま、そのまっすぐな目と言葉があれば、気持ち伝わると思うよ。じゃ、おつかれさん」
サラッとかっこいい言葉を残して村上先生は帰って行った。
“運命の相手”・・・・・か。