『リナリア』~生徒に恋した体育教師~
たいせつな事
あれから1ヶ月が経過した。
妃菜には目すらも合わせてもらえない日々が続いていて・・・。
蓮見先生は相変わらず俺の彼女きどり。
全部俺のせいなんだけど・・・・。
苦しくて辛くて・・・・毎日満たされなくて、夜も眠れない。
「幸大さん♪仕事終わった?一緒に帰りません??」
午後5時を回ると、蓮見先生はこうして体育教官室にまで俺を迎えに来る。
「ああ・・ごめん、まだ仕事残ってるから。また今度」
「そう・・分かった。あんまり頑張りすぎないで?じゃ、また明日」
こんなことが毎日続くもんだから、あっという間に生徒たちにも噂が広まった。
「はぁ・・・・・・・・」
思わずため息が出てしまう。
「はい、コーヒー。ため息ついたら幸せ逃げてくよ」
そう言って、コーヒーを差し伸べてくれたのは村上先生だった。