『リナリア』~生徒に恋した体育教師~
「俺は・・・・・・・・」
「行かないよね・・・あの子のところなんか・・・?」
突然背後から声がして、俺は驚いて振り向いた。
「蓮見先生・・・」
そこには涙をいっぱいに溜めた蓮見先生の姿があった。
「この機会に彼女ともしっかり向き合ってこい。俺は病院に行っておくから。また連絡してくれ」
村上先生はそう小声で話し、車に乗って行ってしまった。
「すいません、迷惑かけます・・」
「ねぇ、幸大さん・・・・・。何とか言ってよ。私のこと見捨てないよね・・・・?」
ぎゅっと握られたその手からは、不安や悲しみが伝わってくる。
この人は、本当に俺のこと・・・・・。
「蓮見先生、ちょっと話そう。」
本気でぶつかってきてくれている人に、俺は気づかないふりして逃げてた。
俺ばっかりが悩んでるんだと、悲劇のヒーローぶってたんだ。
俺も本気で向き合わないと。