『リナリア』~生徒に恋した体育教師~
そして、卒業式が始まった。
俺が初めて3年間も担当した生徒たちが卒業の日を迎える。
当然、嬉しい。
嬉しいんだけど・・・・・あれ、なんでこんなに寂しいんだ?
なんでこんなに涙が止まらないんだろう。
出会った当初、あんなに小さく見えた背中が・・・・今ではすっごく大きく見えるよ。
「これが教師としての、やりがいであり・・・寂しいところだね。もう、この子たちと授業出来ないと思うと・・・何とも言えないよね。君は特にそう思うんじゃない?」
俺の気持ちを察してくれたのか、村上先生が声をかけてくれた。
「そうですね・・・・・。生徒はみんな可愛いですが、こいつらは俺にとって特別です。すっげー寂しいです。」
「その気持ちを如何に抑えて笑顔で送り出せるかが、これからの教師の腕の見せ所だよ。寂しくても笑顔で、これからも頑張れって言ってやれ」
「・・・・はい!そうですよね!」
そうだ、今日でこいつらとの関係が終わるわけじゃないもんな。
繋がっていたいと、心から思える仲間なら・・・何もなくても繋がっていられる。
心が繋がってるから・・・・・・・・。