『リナリア』~生徒に恋した体育教師~
ホームルームも終わりみんなが帰り始めた頃、俺は後ろから「先生!」と呼ばれ振り返った。
「斉藤・・・・」
斉藤とは、いろいろあった。
妃菜のこと相談されてたけど、結局打ち明けずじまいだったな・・・。
本当のこと、言わないとな。
「どした?斉藤」
「先生、ちょっと・・いい?コーヒーおごるよ」
「なにかっちょいーこと言ってんだよっ。まだ卒業して数分のくせに(笑)今日は俺が好きなジュース奢ってやるよ。他のやつらには内緒な?」
「まじでっ!やった~!じゃあ、一番高いの~」
そう言ってはしゃぐ斉藤は、見た目は大人っぽいけど中身はまだまだ子どもなんだなと思う。
「お前はガキだな~(笑)」
俺たちは、あの日話したベンチに座った。
「斉藤、実は俺も話があるんだ」
「なになに?・・・・すっごい気になるけど、俺から話していい?」
「え?もちろんだよ。斉藤の話しって?」
斉藤は持っていた缶ジュースを一気に飲み干した。