『リナリア』~生徒に恋した体育教師~
「実はさ、俺、知ってたんだ。相川さんが先生のこと好きなこと」
斉藤がそう言った瞬間、俺は持っていたジュースを思わずこぼしてしまった。
あからさまな、動揺。
「うわっ!きったねぇな~、大丈夫?」
「だ、大丈夫だ・・・・すまん」
「先生、分かりやすすぎなんだって(笑)知ってた?俺、結構本気で好きだったんだ。だから彼女を目で追っていくうちに・・・自然と先生も目に映るようになっていった。だって・・・彼女が先生を見てたから。最初は、相川さんの一方的な片思いなんだと思ってた。・・・・・でも。違ったみたいだね。」
「斉藤・・・・黙ってて・・・「大丈夫。謝らないで。俺が先生でもきっと言えなかった。
この事実に気づいたとき、正直めちゃめちゃムカついた。先生を殴りにいこうかと思った。
だけど考えたんだ、俺。彼女が好きだから。自分が幸せになるのと、好きな人が幸せになるの・・・どっちが良いんだろうって。でも、答えは一つしかないよね。相川さんが先生を好きになるの、分かるし。そして先生が相川さんを好きになるのもすっげー分かるから。お似合いにな二人に幸せになってもらおうって思って、見守ることにしたんだ!」
「斉藤・・・・・・・・・」
なんて言っていいのか・・・・なにも言葉が出てこなかった。
俺はこんなかっこいいやつの担任をしてたのか・・・・???
俺・・・・・・生徒に身を引かせてたなんて・・・。
「斉藤・・・・・・ありがとな。ごめんな。斉藤・・・・・」