『リナリア』~生徒に恋した体育教師~
俺は、改めて妃菜と出会った時のことを思い出す。
近づきたいけど、近づけない。
話しかけたいけど、体が思うように動いてくれない。
まるで、最初の恋のように。
「俺、お前と初めて出会った時も、初めて話した時もどの瞬間も鮮明に覚えてるんだ。すごくドキドキしたこと、その笑顔に癒されたこと・・・俺だって恋愛は初めてじゃないのに、すべてが初めてのように感じだ。まるで初恋のようだった。なぁ妃菜・・・・・・・これを受け取ってくれないか?」
そう言って妃菜に渡したのは、花。
「うわ・・・かわいい花。ありがとう。でも、どうして?」
「この花の名前は“リナリア”って言うんだって。昨日、花屋に行ったときに店員さんが教えてくれたんだ。そして・・・・その花言葉が、俺のお前への気持ちだった」
「え・・・・・???」
「リナリアの花言葉はな・・・・・・私の恋を知ってください、なんだって・・・。
・・・妃菜さん、俺と結婚してくれませんか?」
生まれて初めてのプロポーズは、緊張し過ぎて心臓が口から飛び出しそうだった。