『リナリア』~生徒に恋した体育教師~
「だってさ、教師である前に男な訳じゃん。たくさんの女の子に言い寄られたら、一度くらいはクラってきてもよさそうなのに。それに先生は今どきの超イケメン先生で独身なわけだし。俺なら、もっと自信満々な態度とっちゃうなぁ~」
コーヒーを飲みながら、村上先生は言う。
確かに、そうなのかもしれない。
教師である前に、男。
たくさんの女の人に好きだと言われて、フラつかないなんて、おかいしのかもしれない。
でも、俺は自分が本当に好きだと思った人じゃないと、気持ちはこれっぽちも動かないんだよな。
それに、女子高生の好きは分からない。
「女子生徒の好きなんて本気にとらえられないっすよ。俺の何を知ってんだって思いますね。授業でしか接しないのに。」
「まぁね~。ま、俺らは教師だしね。生徒のこと好きなっちゃいけないんだけどね。そうなったら俺らクビだしね~」
「そうですよ。だから、あんまり冷やかさないで下さいよー」
そう。
もし、万が一、いや億が一でも、生徒と恋愛関係になってしまったら、俺たち教師はオシマイ。
だから余計に、俺をそういう気持ちにさせないのかもしれない。