『リナリア』~生徒に恋した体育教師~
ハッと我に帰る。
落ち着け~・・・・、俺。
普通のことじゃないか。
生徒が生徒を好きになる。
これは当たり前のこと。
ただ・・・・、相手が俺の大切な相川だってだけ。
「で?どこが好きなんだよ?」
さっきよりも確実に冷たくなった俺からの質問に、ニヤニヤしながら答える斉藤。
「いや・・・あのさ、妃菜ちゃんがさ、俺に教科書かしてくれたんだ。あの日、俺教科書忘れちゃってて。隣のクラスに急いで借りに行ったら、友達が相川ならしっかりしてるから持ってるんじゃなね?って。そして妃菜ちゃんに聞いたらホントに持ってて。てゆか、その前にすでにあの子の笑顔にやられたってゆーか・・・・。照れる~なんか!」
ダラダラつらつら話す斉藤に、チョップ。
「いってぇぇぇぇぇ~~~!なにすんだよ、先生!先生が聞いてきたんだろぉ」
「いや、今のは教科書忘れて、借りにいったという事への罰だ」
・・・・というのが1%で、あとの99%は妃菜ちゃんと呼んでいたこと、ニヤニヤしていたことに対して。