『リナリア』~生徒に恋した体育教師~
俺と村上先生の行きつけの居酒屋。
俺はいつもの通り、ビールを飲む。
「で、相談ってなに?まあ、だいたい分かるんだけどね」
村上先生の言葉に、驚く。
「え?俺がなにに悩んでるか、分かるんですか??」
「女のことだろ?」
分かるんですか、の“か”を言い終えるかのときに返ってきた返事に俺はさらに驚く。
「もしかして、本当にエスパー??」
「ははははは・・・そんな訳ないでしょ。俺だって一応教師ですよ?人間観察は得意中の得意です。穂波先生は、生徒や指導のことで悩むときは、ため息なんてつかないし、すぐに俺とか周りの先輩教師に意見を求めるだろ?でも、最近の君はまるで違う。授業以外で、なんか気持ちが上の空って感じだし、いかにも悩んでますって顔してるし。学校関係じゃなかったら、女性かなって。わかりやすいよ、ある意味君は」
村上先生にそういわれて、初めて、自分の行動を理解した。
確かに・・・わかりやすい。
でも村上先生は、生徒だけじゃなくて、先生のこともちゃんと見てるんだなって・・・改めて尊敬。
やっぱり、すげぇ先生だ。
「そうだったんですね・・・。俺ってほんと分かりやすいっすね。ご名答でございます、村上先輩。」