気ままな猫と暴走族の彼等
1story
転校
ピリリリリリリ……
部屋中に響く、朝を知らせる機械音。
その音を聞き、ゆっくりと瞼を持ち上げる。
『んぅ…。朝…?』
ドドドドドドッ……
そして突然聞こえ始めた地響きの様な音が、この部屋を目指して近づいてくる。
バンッ
「起きろ〜、朝だぞ〜お兄様だぞ〜!」
『春兄、うるさいよ』
大きな音と共に現れたのは我が兄、春兄こと“春樹”(ハルキ)。
朝からどれだけ大きな声を出すのだ…。
「おぉ!起きてた!萌愛~」
そう言いながら抱きついてきた春兄。
『……春兄、離れて』
「やだ」
毎朝騒がしく起こしにきて、「エネルギー保存中」などと変なことを言いながら暫らくの間抱きついてくる。
何のエネルギーなのだろうか。
そう呑気に考えながら、抱きつかれたままぼーっとベットに腰をかけていた。
「何やってんだよ、春樹。朝から萌愛困らせてんじゃねぇよ」
不意に聞こえた声にビクリと体を揺らすのは今も尚抱きついている春兄。