気ままな猫と暴走族の彼等
『優兄、おはよう』
「ん、おはよう」
「お、おう優樹…」
部屋の入り口に現れたのはまたもや我が兄、優兄こと“優樹” (ユウキ)。
因みに優兄と春兄は双子で、一応優兄が兄で、春兄が弟である。
二人は普段から仲がとても良くて、少し羨ましいと思うことがある。
そんなことを思いながら二人を見ると、今は何故か優兄が春兄を睨んでいて、春兄が怯えている、という不思議な状況だ。
ちらりと春兄を見てみると涙目になりながらもギュッ、とわたしにしがみついている。
『優兄が朝来るなんて珍しいね』
少し可哀想だな、と思い優兄に話題をふる。
「まあな。あ、そうそう親父が呼んでた」
優兄の言葉を聞き思考が一時停止した。
お父さんがわたしに用事?
そう思ってしまうのは仕方なく、普段からお父さんに呼ばれることはあまりないので、何かあったのかな?と思いながらベットから立ち上がった。